新築住宅を購入するとき、用意した方がいいといわれる頭金。しかし「いくら用意したらいいの？」「貯蓄が足りない」と、不安に思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。今回は、新築住宅の頭金について解説します。頭金ゼロのメリット・デメリットを踏まえて、いくら頭金を用意すべきか考えてみましょう。

新築住宅購入時の頭金ってそもそも何？

頭金とは「住宅価格から、住宅ローンで借りる金額を差し引いたお金」のこと。つまり、住宅ローンを使わずに、住宅価格の一部を先に払うのが頭金です。

たとえば3,000万円の住宅を、2,500万円の住宅ローンで購入する場合、500万円の頭金が必要になります。

頭金ゼロでも家は購入できる

最近では、頭金がなくても借りられる住宅ローンがあるので、頭金ゼロでも新築住宅が購入できます。貯蓄が少ない場合や、なるべく手元に現金を残したいときには魅力的ですね。

また、賃貸に住みながら頭金を貯めようとすると、その間家賃を払わなければなりません。そのため、頭金ゼロでも新築住宅を購入した方が、総必要額が少なくなるケースもあるでしょう。

頭金ゼロでもある程度の自己資金は必要

頭金ゼロでも住宅ローンは組めますが、ある程度の自己資金がないと新築住宅は購入できません。新築住宅を購入する際には、住宅価格に加えて『諸経費』が必要だからです。

【諸経費の例】
・手付金
・不動産屋さんに支払う仲介手数料
・住宅ローンの保証料
・火災保険料

諸経費の目安は、住宅価格の5〜10%ほど。また、新しい家具や家電を購入する資金も必要になるでしょう。頭金ゼロといっても、最初に支払う現金がゼロではないので、ある程度は自己資金が必要です。

 

頭金ゼロのメリット

頭金ゼロで新築住宅を購入する場合、どのようなメリットがあるでしょうか。

手元に現金を残せる

頭金ゼロで新築住宅を購入すると、手元に現金を残せるのがメリットです。

住宅ローンを組んで新築住宅を購入すると、当然返済がスタートします。しかし、急な病気・ケガや失業など、予期せぬできごとが起こるかもしれません。このようなとき、手元に現金が残っていれば、収入の変化にも対応しやすいしょう。

学費や車検など、近い将来支払いが決まっている費用を残しておけるのも、頭金ゼロのメリットといえます。

住宅ローン控除の恩恵が大きい

頭金ゼロの場合、住宅ローン控除の恩恵が大きい点も魅力です。

住宅ローン控除とは、年末時点での住宅ローン残高の1%が、所得税・住民税から最大13年間控除される仕組み。つまり、住宅ローンの借入額が大きいほど、控除される額が大きくなるのです。

条件が合えば節税効果を最大限得られるため、頭金ゼロは住宅ローン控除の恩恵が大きいといえます。

 

頭金ゼロのデメリット

次に、新築住宅を頭金ゼロで購入するデメリットを紹介します。

返済額が多くなる

頭金ゼロで新築住宅を購入すると、その分借入金が多くなるので、必然的に返済額が多くなります。また、借入金が多ければ多いほど、利息の負担額も大きいです。

毎月の支払額も増えるため、長期に渡って安定した収入が見込めない限り、リスクが大きいといえます。さまざまなシミュレーションをおこなって、無理なく支払い続けられる額の住宅ローンを組みましょう。

ローン審査に通りづらくなる

頭金ゼロのデメリットは、ローン審査に通りづらくなること。

住宅ローン審査は「年収に対して住宅ローンの割合が適切かどうか」「安定した収入が見込めるかどうか」などを調べます。

頭金ゼロだと借入金が増えてしまい、よほど安定した収入がない限り、審査に通りづらくなるのです。一方、ある程度まとまった頭金を用意できれば、住宅ローン審査に通りやすいといえるでしょう。

 

頭金はいくら必要？

では、新築住宅を購入するときには、頭金は一体いくら必要なのでしょうか？頭金あり・なしの場合を比較しながら、用意すべき頭金の額を検討しましょう。

頭金の平均額

国交省が発表した「2020年度住宅市場動向調査」をもとに、頭金の平均額をみてみましょう。

【新築住宅購入時の頭金平均額】
・土地付き注文住宅：26.0%
・建て替え注文住宅：56.1%
・分譲戸建住宅：25.4%
・分譲マンション：34.3%

頭金の相場は20%前後といわれていますが、2020年度の動向を見ると、実際には20〜30%以上の頭金を用意している人が多いようですね。

頭金あり・なしの比較

頭金があるのとないのとでは、返済額と利息が変わります。毎月の支払額では数万円の差でも、総支払額でみると数百万円変わる場合も。

『住宅価格3,000万円のうち、頭金600万円(20%)・フラット35金利1.35%・35年ローン』を条件として、頭金あり・なしを比較してみましょう。

【頭金ありの場合】
・借入額：2,400万円
・利息総額：613万円
・総支払額：3,013万円
・毎月の返済額：7.2万円

【頭金なしの場合】
・借入額：3,000万円
・利息総額：766万円
・総支払額：3,766万円
・毎月の返済額：9万円

頭金ありと頭金なしを比較した場合、利息額は153万円、総支払額は753万円もの差が生まれました。毎月の返済額の差は1.8万円ほど。頭金ありの方が、支払いの負担やリスクを軽減できるといえるでしょう。

 

まとめ

新築住宅は、頭金ゼロでも購入できます。しかし、諸経費や家具・家電の購入など、ある程度の自己資金は必要です。

頭金ゼロにはメリットもありますが、今後予期せぬできごとが起こる可能性も考えると、ある程度の頭金は用意したほうが無難かもしれません。無理せず、長期的に返済できる額の住宅ローンを組みましょう。